オーディオテクニカで最も安いヘッドシェルですが、良品です。重量、オーバーハング(針先の位置)がさえあえばお買い得です。好みにもよりますが、指かけが針先のほぼ真横に来るのでマニュアルプレーヤーでも取り扱いやすいと思います。
AT-LT13Aは商品写真の裏面にカートリッジ取り付け用のネジ穴がほぼ4mm間隔で3組切られています。このため、針先位置の調整は4mm単位の移動と、取り付けネジとカートリッジ本体の遊びの範囲内になります。針先位置調整はメーカー指定値のプラスマイナス1mmの範囲内に収めるのが目安となりますのでカートリッジ、プレーヤーとの組合せに相性があります。
最近のオルトフォンのカートリッジのようにカートリッジ側に取り付け穴にネジが切ってあるものには使えませんので注意が必要です。
シェル本体にネジ穴が切る方式のメリットとして、ネジを締めていってもネジを受けるナットが回転したり、位置がずれたりしないためカートリッジをシェルの中心線と平行に、針先をシェルの中心線上に簡単に装着できますし、ネジを十分な力で確実に締め付けることができます。DL-103シリーズなど本体がプラスチックのカートリッジの場合には、ネジを弱い力で締めていって「カートリッジ本体背面がシェルと接触したな」と感じた位置からさらに1/8回転程度、つまり「ほんの少し締め上げたな」と感じる位でとめるのが取り付けのコツです。ネジを締めすぎるとカートリッジ本体を壊してしまう可能性がありますのでご注意ください。
私はKENWOOD KP-9010 でDENON DL-103シリーズ、SHURE M44Gなどを使う場合に使っています。KP-9010での針先位置の指定はコネクタの太さが変わる部分から51.2mmです。
AT-LT13Aの最も先端に近い穴にDL-103を装着すると51.5mm付近に針先が来てくれます。KP-9010はヘッドシェル込みで24gまでのカートリッジに対応しますが、DL-103との組みあわせは約21.5gでほぼ理想的な重さになります。DL-103はカートリッジの高さが低いので、同じオーディオテクニカでもAT-LH15,LH18では、シェルの個体差によってシェルのネック部分がレコード盤面に接触しそうになりますが、AT-LT13Aではネック部分が太くなっていないのでレコード盤とのクリアランスが十分にとれます。DL-103は底面積が大きく、カートリッジ取り付け部が短いLH15などではリード線の取り回しに苦労しますが、LT13Aでは十分なゆとりがありますので無理をしなくても装着できます。AT-LT13Aのシンプルですっきりとした外観は、「DL-103との組合せ専用に作ったのか?」と思えるくらいにDL-103シリーズのデザインに合います。
DL-103シリーズ(DL-103,DL-103LCII,DL-103R)との組合せではDENONのPCL-300やAT-LH15OCCと比べても殆ど遜色の無い音質で、AT-LT13Aで必用十分と思います。オーディオクラフトAS-12KにDL-103Rを装着してKP-9010に取り付けると、剛性が高くなりすぎるためかシャープでハードというのを通り越してキンキンした音になってしまいますが、AT-LT13Aにつけかえると適度に落ち着いた艶のある音色になりました。
M44GをAT-LT13Aの真ん中の穴に取り付けると、針先位置がDL-103とほぼ同じ位置に来ますのでこちらも相性は良いと思います。KP-9010付属のシェルではカサカサとした音色になり、低音もあまり出ませんでしたが、LT13Aに付け替えると低音の量感が増えて歪感が減り、「これなら使える」と思える音になりました。
付属のリード線も特に高音質はうたっていませんが、DL-103、DL-103R、M44Gと組み合わせても特に不足は感じませんし、高音質をうたう単品の高価なリード線のような強い個性、癖もないので最初は付属リード線のまま使うことをお勧めします。
針先位置がシェルのネックの部分から51~52mmに指定されているプレーヤーでDL-103シリーズのカートリッジを使う場合にはお勧めのヘッドシェルです。トーンアームに取付けられるカートリッジ重量が20g以下の場合には、ほぼ同じ構造でより軽量のAT-MG10を使えばよいでしょう。
これからもAT-LT13Aの生産を長く続けて欲しいと思います。