この作品についてはこのDVDで初めて観ました。
随分前からフェリーニが好きなのに観るのがこんなに後回しになったのは、この作品の印象が地味だったので積極的にならなかったということに尽きます。(印象が地味⇒時間が短い。粗筋を見るとリハーサル風景の混乱の話だけらしい。等々…)
ニーノ・ロータとの最後の作品という点以外ではあまり話題にも上りませんし…。
でも、観てみないとわからないもので、これがかなり楽しい映画でした。
確かに舞台は限定されています。ホール以外ではホールに隣接しているらしい酒場の内部と指揮者の控え室のみです。撮影はセットを三つ作れば足りてしまうわけです。おそらく、すべてチネチッタにセットを組んだのでしょう。屋外のシーンはありません。
しかし安っぽさはなく、前作のカサノバ譲りの虚構性が素晴らしいものでした。フェリーニの宇宙はここでも健在です。
また、超個性的なオーケストラ面々が相当楽しい。
この映画、6割近くがメンバーへのインタヴューといった構成です。(残りは演奏と大騒ぎ)
メンバーはそれぞれ勝手にいろんなことを身振り手振りをつけて喋ります。(聞き手はフェリーニ←声だけの出演)これが面白い。いかにもフェリーニ映画のキャラクター表現で思わずニンマリしてしまいした。
そしてリハーサルはドンドン混乱して最後は大騒ぎ。ここもフェリーニらしさ爆発。
ビックリするようなあきれた結末も秀逸で痛快。
フェリーニが好きな人で見逃していた方。短い映画ですが密度が大変高い傑作です。
解説(←特典に含まれている)なんか読むとメンバーと指揮者の関係に政治的な捉え方もあるようですが、私なんかは単純におもしろく『こりゃ、フェリーニ流のシュールなコメディだ』と思ったくらいです。
考えてみれば『カサノバ』を作ったばかりの頃の作品です。まだまだ脂の乗ったフェリーニの力強い演出がたっぷり見れます。
ニーノ・ロータの美しい旋律もたっぷり味わえますし、これはお勧めです。