バブル期に入行し、大阪西支店の融資課長を勤める半沢が主人公。無担保で5億円の新規融資を実行したが、7ヵ月後に当の相手企業が不渡りを出し倒産、半沢は窮地に立たされる。雲隠れした社長の東田を捕まえることはできるのか、果たして5億円を回収できるのか……
テンポの良い筆運びに乗せられて、すっかり主人公の側に立ってしまう。元銀行員だけあって銀行内部の描写はお見事。支店長の暗躍、東田社長の悪巧みなど読みどころ満載。とにかく面白い。そして最後に勧善懲悪で目出度し目出度しとなって、溜飲が下がる。読み終わった後は気持ちがいい。読者が何を読みたいかを充分に理解して書いている。賃貸借表とか決算書とかは、ざっくばらんに簡単に触れて、専門知識を振りかざし小難しいことをと並べ立てるような愚は冒していない。従って全体の流れを滞らせることなく実に気持ちよく読める。
また子どもの書き方が巧い。支店長浅野の子どもが僅かに登場するシーンがあるが、子どもらしさが溢れていて、実に効果的。誰が読んでも面白い小説だと思う。