気分屋で直情的、思ったことをそのまま口に出さずにいられない、元数学教師のオリーヴ・キタリッジ。
13の短編を積み重ねるかたちで、オリーヴと、アメリカ郊外の町に暮らす人びとの人生が浮かび上がってくる。
どの物語にもオリーヴが登場するけれど、そのすべてにおいてオリーヴが主人公というわけではない。
ざくざく編まれた麻の敷布みたいな、雑多な町の人間模様の中に、オリーヴも一本の毛羽立った糸として織りこまれている。
簡潔で味のある物語をひとつずつ読みすすめるうち、あまのじゃくで愛想がない、だけどほんとは不器用で純粋なオリーヴを、だんだん好きになっている自分に気づく。
読み終えてふーっとため息をついた後、もう一度最初から読み返したくなる良質の短編集。