五編からなる小説集です。
すべて「喪失」がテーマになっているのではと思われます。
表題作「オリーブ」は、導入部がおもしろいのですが、ちょっと消化不良の感があり残念。
「カナカナの庭で」「指」「不在」はどれも緊張感にあふれ、人間の汚い面、弱い面、哀しい面を描いていきます。
最後の「欠けた月の夜に」が個人的には一番好きです。
大事な夫を失うことによって、辛い事実をつきつけられた妻。でもそれと同時に今まで見えなかったいろいろなことが見えてきて・・・。
すべてのお話が、なにかを失ったあるいは失うことによって、また違うものを得て日常を続けていく人間を描き、切ないけれど絶望感はなく「人生は続いていく」ということを感じる小説集です。