舞台はムッソリーニ政権下の1936年のイタリア北部ロンバルディア州のコモ湖畔に位置する小さな街ベッラーノ(Bellano)。ある40歳の女性が、同じアパートに住む90歳を超える未亡人老婆の死体を発見したところから物語は展開する。
死体発見者の女性とその夫、主任司祭、不良グループ、娼婦、カラビニエーリ准尉、行政長官とその妻、そしてその妻から亡き姉と思い込まれている占い師、不良グループの一員である息子の父親で雑貨店の店主とその家族、そして猫たち・・・。とにかく多くの人物が次々に登場し、さまざまな事件が起こって、場面は急速に展開していく。それらは大事件というわけではないのだが、小さな街ベッラーノにおいてはとてもインパクトが強く、登場人物が重なり合って、新たな場面へと展開していく。
オリジナルは400ページ超とのことで、翻訳による本書は500ページ超。数多く登場するイタリア人の名前に混乱や戸惑いを感じるかもしれないが、カバー折り返し部分に登場人物が紹介されているので、参照しながら読むとよい。文字の大きさや、段落の長さも短めであり、読みやすい。
また、多くの書評にも書かれているとおり、決まった主人公はいない。カラビニエーリのマッカド准尉かともいわれているが、それほどの大活躍をする訳でもない…。
本文中には多くの訳注が付けられており、当時のイタリアの世相を読み取ることが出来る点が実に好ましい。また、ファシスト政権下のイタリアにおいて、言語政策として、それまでの二人称の敬称が変更されたが、そのあたりの表現も絶妙で、イタリア好きはもとより、ファシズム時代の文化に興味のある方にもおススメできる小説である。
最後に、タイトルの「オリーブも含めて」の意味するところは…。それは読んでのお楽しみ…。私は通勤途中の車中で読んでいて、思わず吹いてしまいそうになった。
なお、先に挙がっているレビューを見て、同著者の「ブティックの女」を注文してみた。