あまりのスリリングな展開に、あっという間に読み終えてしまいました。奥田さんの著作はシリアス路線よりもコミカル路線の方が個人的には好きでしたが、本書は別格です。
秋田出身の東大院生はなぜ東京オリンピックを妨害し、国家に対決を挑もうとしたのか? 早い段階で犯人は明らかにされ、警察側の追跡と犯人が犯行に及ぶに至った経緯が徐々に解き明かされていきます。その追いかけっこが実にスリリングでした。
とにもかくにもディテールへのこだわりが素晴らしく、市井の人々のちょっとしたやり取りなどから東京オリンピック開催当時の空気がよく伝わってきました。もしかして陰ではこんな騒動があったのか?なんて思わされるほどのリアリティでした。東京オリンピックをリアルタイムで経験していない人なら、上の世代にとって東京オリンピックがどれほどの重みを持っていたのかというのをよく理解できると思います。時折Youtubeで東京オリンピック開会式の映像を見ながら読み進めため、さらに臨場感が増しました。また、高度経済成長の陰で苦役を強いられた人々や、地方と東京の格差について考えさせられたりもします。
ズバリ、読んで損はありません。