このアダプターはオリンパスがE-1でデジタル一眼レフに本格参入して間もないころ、E-1購入者のうち希望者限定で無償配布されたことがある。私もそうして手に入れた一人だ。「無償」であった理由は、アナログ(フィルム)用設計のOMレンズをデジタルカメラに用いても、本来の性能を発揮できないから、という旨であった。実際、ほとんどのレンズで使える絞りの範囲が限られているなど機能制限があったが、なんともまぁ、職人気質で商売下手なオリンパスらしい姿勢だ。何も無償にすることはなかったと思うが、実際その後ユーザー側からの要望もありこのアダプターも正規商品としてカタログ上にならんでいる。
さて、このアダプターリングを入手した直後、手元の主なOMレンズをテストしてみた。確かに解放絞りあたりで画質や色合いに問題が生じるものが少なくなかったし、社外品に至っては無限遠が出ないものすらあった。そんな中でずば抜けて良好な描写を維持したレンズが一つあった。それが90mmf2マクロだ。おお、これは使える、と喜んだのを覚えている。
しかし、その後実際にE-1にこれらOMレンズを付けて使ったことはあまりなかった。画角の面でも画質の面でも、純正のデジタル仕様ZD竹ラインナップで十分カバーできたのが最大の理由だったが、今にして思うと、E-1で単焦点レンズの高画質を求めるまでのメリットが薄かったのかもしれないし、その小さなファインダーでMFレンズを使うのは決して快適ではなかったからのように思う。
だが、メインボディがE-5になってから状況が一変した(注・私はE-3を使っていない)。松レンズ群の本領を活かすと言われる高い解像感は、竹レンズしか持たないビンボーカメラマンには当初その実感が湧かなかった。「そうだ、あれがあった」防湿保管庫から久々に取り出した90mmf2マクロをアダプターを介して装着する。E-1より大きなファインダーでピント合わせも心地よい。ピントリングや絞りリングを操作していると、OM1やOM3Tiと共に過ごした日々が甦ってきた。そして出来上がった画には、ぞくっとするような細やかさと色合い。ああ、これがこのボディとこのレンズの実力なのだな。僕はますますオリンパスが好きになった。