ロマン・ポランスキー監督の新作「オリバー・ツイスト」は、多くのことを考えさせる作品でした。
英国は、今では米国と一緒になって他国の民主化(表向きは)に口出しする国になりましたが、この映画の舞台となっている19世紀末には、孤児に粗末な食事を与え、労働を強制していた国です。孤児たちの食事と救貧院を運営する委員たちの豪華な食事の対比に胸が苦しくなりました。孤児に対する偏見も酷いものです。
ロンドンにたどり着いたオリバーに救いの手を差し伸べたのは、着飾ったお金持ちではなく、他ならぬ同じ孤児のドジャーであり、子供たちに盗みで稼がせる代わりに面倒を見ているフェイギンです。フェイギンは、悪人かも知れませんが、見向きもされない孤児に生きる術を教える、それが悪事であっても責められるものなのか。
フェイギン役のサー・ベン・キングズレーは、この難しい役をそれは見事に演じています。ドジャー少年を演じたハリー・イーデンの大人びた演技も将来が楽しみです。
そして、純真な心と無垢な瞳を持つオリバーを演じたバーニー・クラークは、あえて凄いと言わせてもらいます。悲しみと苦しみを決して笑わない表情で表現しています。
オリバーは、運良くブラウンローという老紳士に助けられるのですが、ほかの孤児たちはどうなるのでしょうか。そして、悪人とはいえ子供たちに優しかったフェイギンの死罪は正義なのでしょうか。最後まで微笑むこともなく、老紳士と馬車で家路に向かうオリバーの心を思うとやはり素直に喜べませんね。
現在も世界中のいたる所にストリートチルドレンが存在することを考えると胸が痛みます。多くの人に見ていただきたい作品だと思います。