ポランスキー監督作品である事と、ベン・キングズレー出演作品である事に
期待して観た。
牧歌的な農村地帯を始め、19世紀のロンドンをここまで再現している映像
が何より素晴らしい。
加えて、弦楽器が『ソソソラシシシラソー』の主題を持つフレーズのリフレイン
を奏でる。
キングズレーはフェイギンの慈愛に満ちた悪人という難しい役どころを見事に演
じている。
本作はデビッド・リーン監督作品のリメイクであるが、オリジナルでもフェイギ
ンは、スターウォーズでおなじみの名優、アレック・ギネスが演じている。
脇を固めるキャストもキャラ立ちしており、サイクスの暴力性、ナンシーの母性
愛、バンブルをはじめ役人連中や救貧院関係者の憎らしげな演技がいい。
ドジャーのハリー・イーデンはリバーフェニックスかと目を見張った。凄い存在
感だ。
台詞は少なく、自立心は無いまでも、バーニー・クラークの寂しげな愁いを帯び
た表情は非常に独特で、惹きつけられる演技ではある。
しかし、大変勿体無い部分がある。
特に最後のシーン、ブラウンロー氏の元に戻れて乾杯!というシーンと、フェイ
ギンに面会するシーン、
あれは逆である。フェイギンを見舞った後のシーンは、引きつった笑顔しか出て
こない。
更に罪が重いのは、原作でははっきり描かれているブラウンロー氏が手厚い加護
をオリバーに与える理由が、映画では皆無な事だ。
その理由こそは描かねばならない最重要項目の一つなのだが、あっさり割愛する
姿勢が全く理解出来ない。
苦言を呈したが、素晴らしい部分は随所に観られる。是非観て欲しい作品であ
る。