2007年に亡くなった小田実さんの最晩年の講演、中途に終わった新書や物語の原稿に、鶴見さんの講演、エッセイ、さらには鶴見さんと小田さんの架空対談などを収録している。
2人の講演・文章を通じて伝わってくるのは、戦後の代表的な市民運動でもあるべ平連を2人とも、それぞれの健康問題を押して長期に渡って中心で支え続けた体験の重さ。それが2人の思考を「東大」的な枝葉末節から切り離している。小田さんが何度もギリシャ・ローマの時代に帰って考え続けた民主主義の問題、戦争を引き起こせる「大きな人間」と戦争で殺される、彼らがいなければ戦争ができない、そして戦争を止めることのできる「小さな人間」(イコール「デモクラシー」の語源でもある「デモス」つまり「人々」)の対比、そして民主主義はただの選挙主義ではない、という主張が骨太の思想として手渡される。
この時代に小田さんに生きていてほしかったが、後は今を生きる私たちの問題になる。