ジェリー・マリガンは幾つもの顔を持つジャズ界きっての才人である。セロニアス・モンクやベン・ウエブスターらを向こうにまわしての"Mulligan Meet~"シリーズ、短命に終わったもののビッグバンドのリーダーとしての一面、そして本作に代表されるピアノレスコンボでのプレイ等様々なアプローチでファンを惹きつけてきた。このピアノレスカルテットは50年代始めにおいては斬新なフォーマットだったと思われるが、正直な感想として、マリガンの作品としてはやや魅力を欠く点がいくつかある。一つ目は実験的色彩が濃く、感情移入しにくいこと。二つ目は18曲という数の多さ故、捨て曲のようなものが少なからず混在すること。三つ目はチェット・ベイカーのプレイがいまひとつ凡庸であること等々。マリガンの代表作のひとつにあげられることが多いのだが、何回も聴き通す人はそんなにいないのではないかと思う。