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オリエンタリズム〈下〉 (平凡社ライブラリー)
 
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オリエンタリズム〈下〉 (平凡社ライブラリー) [新書]

エドワード・W. サイード , Edward W. Said , 今沢 紀子
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,631 通常配送無料 詳細
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登録情報

  • 新書: 474ページ
  • 出版社: 平凡社 (1993/06)
  • ISBN-10: 4582760120
  • ISBN-13: 978-4582760125
  • 発売日: 1993/06
  • 商品の寸法: 16 x 11.2 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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24 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By sin
形式:新書
 オリエントは東方の他者として存在するのではなく、オクシデント(西洋)の中にこそ存在する。オリエントとは、支配者と従属者、この力関係の中でオリエンタルなものとされた、現実と完全に符合することの無い他者イメージであった。本書ではいわゆる西洋と東洋の認識の中で書かれているが、様々なシーンに適用可能な、例えば日韓関係を考える上でも重要となる感覚がちりばめられている。我々の認識する他者とは、我々自身に内在する他者であり、決して現実の他者そのものではない。歴史、政治、思想、哲学、地域研究、あらゆる分野に携わる上で、必読の書であろう。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By dvrm トップ100レビュアー
形式:新書
 下巻は、上巻でオリエンタリズムの問題領域の提示、19世紀にオリエンタリズムが制度化されていく様子が第一章・第二章として記述されたのをうけ、19世紀末から第一次世界大戦までの間に、オリエンタリズムにイギリス的・フランス的という違いが大きく現れたこと、第一次世界大戦後から第二次世界大戦までの間にオリエンタリズムの担い手がアメリカに移ったこととオリエンタリズム自体の変質を扱った第三章、本編発表の7年後に発表されたオリエンタリズムに関する再説、日本人研究者の杉田英明氏の解説、訳者解説と上下巻共通の原注・索引が収録されている。
 オリエント、特に本書で論じられている西アジア・エジプト・インドで実際に植民地を統治していたイギリスでは、オリエントに対する認識が行政的・経済的・軍事的な操作手法へと変わり、その変化に応じてオリエンタリズムもより現実的になった。頻繁に用いられたのは「我々と彼ら」という区別=差別の図式と骨相学・人類学による人種類型を政治・文化の領域に拡大して適用する手口など、そんな手法でブリティッシュ・オリエンタリズムは植民地支配を正当化するどころかオリエントへの恩恵とさえ表象した。対してフランスでは当該地域にもはや植民地をほとんど持てなかったのでオリエントを自分たちの幻想・異国への象徴として観念し、オリエンタリズムもそれに応じて混乱と暴力と性的奔放さ、というイメージを流通させた。もちろんどちらのオリエンタリズムも実際のオリエントの存在を無視していたことに変わりがない。
 そんななか第一次世界大戦後に国際政治のヘゲモニーを確立したアメリカは、それまでの覇権国家だったイギリス・フランスからオリエンタリズムの使用権を継承することになった。この事実だけでもオリエンタリズムという学問分野が科学というより政治技術であることが示されているが、以下、著者はアメリカでのオリエンタリズムの特質を指摘する。それは、アメリカニズムをプロパガンダする前提としてオリエンタリズムの学習制度を作り上げたことと、アメリカン・オリエンタリズムが強く性行為を含意するようになったこと(男としてのアメリカがか弱い乙女としてのオリエントを組み伏せる)の二つだ。より消費イデオロギーを広げていくアメリカニズムが同時にオリエンタリズムも使いこなすことへの強い疑義と共に、全三章の論述は幕を閉じる。
 1985年に書かれた再説は、本編発表後に起こった著者本人の認識の深まりと、周辺で巻き起こった論争、彼の問題意識を受けた数多くの研究の紹介がされている。

 この著作が発表されたことで、明らかになったことは数多いようだ。そんな意味でこの本は世界を変えた一冊だと思う。内容に賛成するにしても反対するにしても、この著作自体にオリエンタリズムを働かせない限り、この1冊の業績は失われないだろう。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:新書
 オリエンタリズムの再生産装置となったアカデミズムがいかに政治的に機能しているか、そして米国の大学機関とメディアが「中東生まれのオリエンタリスト」をいかに再生産しているかを告発している本著は、現在の世界情勢を鑑みると発刊当初(30年前!)よりもむしろリアリティが増してきているように思う。

 この上下巻を通読すると、メディアや情報の影響を受けずに他者を知ることがどれ程難しいかを通感させられる。インターネットで膨大な情報にアクセスできるようになった現在、社会的先入観の陥穽に落ちる危険性を我々の生活はむしろ高めており、そう簡単に新たなビジョンを見つけることは誰にだって難しいだろう。

 この手の人文書に対するありがちな批判が訳者あとがきにもあり、要は「オリエンタリズムに代わるビジョンがない」という批判なのだが、そんなものまでサイード1人に期待するのは酷であって、それは読者1人1人が「自分の場所」で考えなくてはならない問題だろう。サイード自身はパレスチナ国民議会議員も勤めながら積極的にベタな政治活動を行った人物であり、むしろ彼の生き方の中では、行動することで次のビジョンを模索しつつバランスを取っていたんだと思う。読んで文句だけ言ってる奴が一番卑怯なんじゃないか。(「知識人とは何か」はそういう問題意識で書いたんだろうね。)

 あと、オーウェル好きの僕にとっては少し納得のいかない妙な引用があった。他にも引用の精度は当時問題になったようだ。「知識人」なのにツメが甘いというのもご愛嬌というかアメリカっぽいというか(笑)。
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