江戸時代の日本にあって、海外渡航は禁じられていた中、数少ない海外情報の入手経路の一つがオランダ風説書であった。本書はそのオランダ風説書の徹底的な分析から、その背景にある日本、オランダ、そして世界情勢の変遷に迫るものである。
当時の国際情勢と、江戸幕府の成立といった国内状況からオランダ風説書制度が確立し、展開する様が詳細に論じられる。俗に考えられているように江戸時代が全く世界に閉ざされた暗い社会ではなく、一定の範囲でむしろ積極的に対外政策を管理していたことが了解される。ハイライトはフランス革命からナポレオン戦争期の、オランダと日本、イギリスなどの繰り広げる丁々発止の外交戦だろうか。こうして近代化は着々と準備されたのである。
ついにはペリー来航による近代国際関係の成立により、オランダ風説書がその歴史的役割を終えるまでが本書の範囲である。ダイナミックな歴史の背景が紙上に浮かび上がる、質実剛健の一冊である。