監督、とことんやりましたね、と声をかけたくなる映画。タイトル、日本の昔話風物語のミュージカル、しかも外国人が主演ということで観る前から敬遠する人もいるだろう。筋は単純だが一部意味不明の場面があったり、原色の奔流、それでいてチープな感じのスタジオ撮影の多さについていけない人がいるのもわかる。しかし、これらは監督の計算のうち。
例えば書き割りの多さだが、ハリウッドのミュージカル映画、特に戦前の例えばジンジャー&フレッド・シリーズだってそうだ。あえて昔風のミュージカルの世界に引き込もうというのが監督の魂胆。その分、デジタル処理等にお金をかけている。監督の美意識最優先の映画にはついていけないことがあるが、本作のように唖然とする程徹底すれば寧ろ小気味よい。尾形光琳のかきつばた図を背景にして「恋する炭酸水」を歌う場面には息をのむ。不思議に見返したくなる作品なので、DVDのミュージカル・シーン再生モードは有難い。
俳優も役を楽しんでいる。チャン・ツィイーは日本語でしっかり歌っている。彼女とオダギリ・ジョーの歌唱力は今一歩だが、致命傷ではない。総じてオダギリ・ジョーは影が薄い。狸顔の薬師丸ひろ子ははまり役。そして予想外の人のデジタル出演には驚く。
人を選ぶ映画だが、豪華絢爛なイメージの、暴走一歩手前の奔流に身を任せればよいのではと思う。案外子供が喜ぶのでは?