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ちなみにこのミュージカルは、同じ『オペラ座の怪人』でも数ある恐怖映画とかなり違います。こちらは、甘美な愛のお話です。確かに、怪人による殺人や呪いの言葉など、残酷で恐ろしいものもあります。しかし、それらの狂気は全て、悲痛な叫びにも似た愛のため。哀しくも美しいのです。華麗な仮面舞踏会などを織り交ぜた、悲劇性に富むロマンティックな作品です。とても深い、大人なミュージカルでした。
まず何よりも特筆すべきは、今井ファントムの圧倒的な声量です。その渋くて落ち着いた歌声からは、ファントムの心に巣食う苦悩が伝わってきます。演技の部分にぎこちなさが感じられますが、大した瑕ではありません。クリスティーヌ役の井料さんは伸びのある美声で、ヒロインの抱える弱さと強さを上手に表現していると思います。ただ、鼻にかかったような独特な発音と、台詞部分のアニメ声のような喋り方(演出家の意向なのでしょうが)に、少し違和感を感じます。良くも悪くも井料さんという女優の個性を感じさせます。ラウル役の柳瀬さんは、落ち着いた優しい歌声で、誠意を感じさせますが、録音のせいでしょうか、彼の歌声が周囲の音に呑まれて、何となく印象が薄いのです。
この10周年キャスト盤は、それぞれ個性的な俳優を配していますが、誰かが突出することもなく、作品そのものの良さを安心して楽しませてくれます。良質なアンサンブルといい、そういったバランスの良さは劇団四季ならではでしょうか。
まだロングランキャスト版は聞いていませんが、こちらもぜひ聞いてみたいです。両方持っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。自分はファントムはこっちが好き、とかクリスティーヌはこっち、とか好みがあるでしょうから、それに応じて両方楽しむのも手ではないでしょうか。
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