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17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
訳者・米川正夫!!!,
By 野火止林太郎 (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: オブローモフ〈上〉 (岩波文庫) (文庫)
『オブローモフ』こそ『白痴』のムイシュキンへとつながってゆく<無用の人>の先達である。その極北の人が『代書屋バートルビー』のバートルビーその人である。尤もオブローモフは、当然にもロシアの農奴制のうえにのほほんとしている有閑貴族層に属する(ムイシュキンも)。この緩さ! この気楽さ! そのうえ罪深いこと!(繰り返すが、現実としてはムイシュキンも同様である。だから彼を「無条件に美しい人」ということには異論がある。ムイシュキン自身が農奴解放以降の人であっても、貴族である以上、その制度のうえに生きているのである。彼自身に直接的な責任はないにしても)。 本書は退屈であることが名作という珍しい例であって、読むほうもダラダラと読みたい。 ラスコーリニコフ登場に先立つこと7年、ムイシュキンに先立つこと10年、このヘンテコな主人公は「ロシア的」なるものの一典型として登場し、決して忘れられない存在感を持つ。 なお、本書訳者の米川正夫は、ロシア文学翻訳の真の巨匠の一人だ。かつて山本夏彦は米川を「日本語の破壊者」として実名を挙げて批判したが、わかっていないなあ。うねる訳語、その文体はまさにドストエフスキーである。河出版全集の偉大なる訳業は不滅のものであり、亀山新訳の『カラマーゾフ』に拍手を惜しまないことと決して矛盾するものではない。 亀山訳でドストエフスキーに嵌った人は、古本屋で河出版全集を購入することをオススメしたい。決して読みにくくはない。 おそらくドストエフスキーのキャラクターたちが、乗り移ってくるような迫力は米川訳にこそあると思うがいかがだろうか。
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