裏表紙にコンテンツが書かれている。就任演説、勝利演説、民主党大会基調演説、指名受諾演説、と並んでいる。4本のどれにも「全文」と添え書きがある。
じつは恥を晒すが、この表記を見て私は、フルヴァージョンの動画が4本収録されている、と早合点してしまった。実際は、動画は就任演説と勝利演説の2本だけ。今後購入を検討される向きは、私のようなつまらぬ誤解をしないようご注意を。
字幕は、なし/日本語/英語、の3択。これ自体は適切な設定と思うが、問題はその中身。
というのも、
オバマ大統領就任演説 CD Bookのレビューにも書いたが、日本語は全部「意訳」レベルである。意訳では訳者の感性や判断などが入り込む余地があり、もしそれらの根本部分に誤解があったら、オバマ氏本人の意図するものが正確に伝わらなくなる危惧がある。今のところそうした致命傷には出会っていないが、日本で出す以上は日本語訳の方こそが命であり、その点の不安が拭いきれない。
しかも使われている字幕は全て、この意訳レベルのテキストそのものだ。英語の原文でさえ、事前に公表されたもの、公式サイトでは“transcript”という但し書きがつく品質なのに、それをさらに意訳したのでは、十分な翻訳品質を担保できる道理があるまい。
一連の出版競争の中で提供された貴重な動画だけに、無碍にその存在は否定できないが、本書単品の購入という意味では相当躊躇するべきだった、と、自分の粗忽ぶりを後悔している。でも指名受諾演説のフルテキストは本書にしか収録されてないし・・・。
勝利演説のときにも不満に感じた出版業界の商売のやり方がさらにアコギに思えてきた。
「だから商売根性に踊らされるんじゃない」というニュアンスのレビューがいくつかあった。決して同調はできないが、気持ちが全く理解できないわけでもなく、少々複雑ではある。