有森も高橋も野口も……アシックスのマラソンシューズで五輪を走った。
ほかにもアシックスシューズを使っているアスリートは多い。
私がアシックスと聞いて、鬼塚喜八郎の名前が浮かぶのは、
今から20年以上前、日本の優れた経営者として、
アシックスの鬼塚喜八郎、大塚グループの大塚正士、来島どっくの坪内寿夫が
よく新聞に取り上げられていたからだろう。
とくに鬼塚喜八郎は、小さな靴メーカーを、スポーツシューズブランドに押し上げた人だ。
本書はしかし、鬼塚喜八郎の本ではない。鬼塚から「ものづくり」の遺伝子が
どのように受け継がれたかをドキュメントタッチで著したものだ。
当時はすでに社名はアシックスになっていたが、まだブランドは今ほど浸透してなかった。
それがナイキやアディダスと肩を並べるまでになったのはなぜか。
すべての始まりは喜八郎が心血を注いでつくったバスケットシューズだった……。
今アシックスでアスリートから特注シューズをつくっているのが「三村仁司」。
本書では三村だけでなく、多くの「オニツカスピリット」を持った人たちが登場する。
喜八郎に対する懐かしさで手にとった本だが、モノをつくる、それを売る……
その精神と「こころざし」が詰まった、いい本に出会えた気持ちである。
スポーツシューズの歴史として読むのもいいかもしれない。
いろんな読み方ができる本だ。