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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
マスターベイションの歴史,
By カスタマー
レビュー対象商品: オナニズムの歴史 (文庫クセジュ) (新書)
ヨーロッパにおけるマスターベイション観の変遷史を簡略に記した好著です。古代ギリシア人の自慰に対する観念から、中世以降の主にキリスト教世界にあって、人々がマスターベイションをどのように看做してきたかという変遷を手際よく述べてあります。 性に否定的な近世西欧社会から、ようやく迷信を脱した現代20世紀に至る迄の、時には滑稽で噴飯物としか言えぬ「自慰観念」の移り変わりを概観することが出来ます。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
歴史的存在としての性(についての語り),
By
レビュー対象商品: オナニズムの歴史 (文庫クセジュ) (新書)
聖書の「オナンの罪」がマスターベーションと同義とされたのは、18世紀半ばのティソーの著作の頃からである。中世キリスト教では生殖を性的結合を支配する自然法則とし、精液を無駄にしないための自然の体位等について忠告し、生殖にふさわしい限度と秩序の範囲内で性を認める見解を発展させた。そこでは、自慰以上に夢精に関心が持たれた。しかし、近世に公衆浴場が消滅し、家父長権が強化され、愛の美学が発展するにつれて、自慰に関する言説が増加してゆく。自慰はあらゆる身体的・精神的虚弱化、道徳的堕落の源泉とされ、「隈のできた目」や臭気と関連付けられ、徐々に世代を蝕む文明社会の破壊的要素として、詳細に記録される。予防や治療として、拘束衣・焼き鏝・冷却・性欲抑制剤等が用いられ、体操や告白が推奨され、寄宿舎・寝室・便所等の監視や身体検査が行なわれ、外的環境への働きかけがなされる。こうして、18世紀には聖職者・司法官と共に、医師による「科学的根拠」に依拠した告発が付け加わったのである。こうした自慰の罪悪視が19世紀に頂点に達した後、フロイトの精神分析学の登場と共に、人間にとっての性の意義が復権され、ライヒのように自慰そのものではなくその罪悪視の方を問題視する動きが現れる。1965年ジョンソンにより自慰は無害と結論づけられ、1973年以後、学校での性教育が始まり、自慰を愛情的コミュニケーションの練習、社会化過程とするトランブレの見解も現れ、キンゼイによって自慰の数値化がなされた。また、性の解放の結果、性行為と生殖とが分離され、オーガズムへの権利がセクソロジーの対象となると共に、オーガズムの一致が要請されてもいる。しかし、自慰を全面肯定すべきとは著者は考えず、スムーズな人格形成のためにも、包容力を持った新たな禁止の概念を対置する必要性を主張している。本書の意義と限界については、訳者あとがきで適切に述べられている。
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