セクシュアリティ研究の常道とも言える言説分析であり、女性のセクシュアリティがどのようなプロセスを経て形成されたのかを、明治期から昭和期にかけての婦人雑誌の読者相談欄などを用いて俯瞰する。月経不浄論と月経帯の普及、処女観の発生と、その社会科・内面化、さらに純潔=純血を女性に強要する一方で、ファロスの象徴たる父親を中心とする「性家族」の誕生と、父親による娘・妻の性の管理にいたる過程を簡潔に論じているが、これらの現象が生起するに当たってそれを可能にした社会背景の記述がやや薄く、若干博物学的薀蓄に終始しているようにも思える。最後の、純血=純潔に関する論考は、牟田和恵の論文に依っているが、より深く追求されねばならないと思う。