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『「手前ども」
へりくだることがオトナの基本である。
あらゆる局面において、我先にと争うようにへりくだる。
へりくだることを追求し続けたオトナたちの主語は「手前ども」。
「直行直帰」
これは幾多の修羅場をくぐり抜けたオトナ中のオトナしか会得できぬ必殺技であり、
新人がマネすると取り返しのつかないことになるから注意。』
など、
並べて見ていると、
すごく相手に気をつかってオトナ語があるんだな。
と感心します。
辞典形式で「言葉があり、説明がつく」本です。
それぞれが短いので
気になるところから拾い読みで
パラパラめくっても楽しめます。
そして、仕事をしている自分が誇らしくなったり
営業さん達がいとおしくなったり、
となりの係長の肩をたたいて「おつかれさまです。」
と言いたくなったり、
してくるから不思議。
読後は仕事が楽しくなる、素敵な本です。
大学2年の頃、下宿部屋の薄い壁を通して隣室の大学4年生の声が筒抜けでした。彼は電話を頻繁にかけては開口一番「いつも大変お世話になっております」と言うのが常。随分大勢の人に世話になっているんだなぁ、と思ったものです。
大学3年の頃、バイト先の出版社から送られてきた手紙の末尾に「ご査収いただければ幸甚です」と書かれた日本語にちんぷんかんぷん。慌てて辞書を引いた覚えがあります。
新人社会人の頃、勤務先で先輩の席の電話が鳴り、それを取った時に「○○はいま席を外しております」という言葉がすぐに出ず、困った経験があります。
仕事で失敗した時に先輩から「そういう時はゴメンナサイするしかないだろう」と言われ、茶目っ気あるその物言いに、(実は大失態であったのですが)ほんの少しだけ心の重石がとれたような錯覚に陥ったことがあります。
社会人10年目ともなると、「落としどころ」と「兼ね合い」とを「視野に入れつつ」、必要とあれば交渉先に「泣きを入れる」こともいとわず仕事をしている自分がいました。
社会人15年目、学生時代の友人からのメールに「小職」という言葉を見つけ、あいつもオトナになったんだなぁと一人感慨にふけったものです。
本書「オトナ語の謎。」を読みながら、いつしか言葉によって武装しながら生きるようになった<オトナの自分>を振り返ることしきりでした。そして携帯電話やインターネットがない時代に戻ることが出来ないように、オトナ語を知らなかったあの「幼かった」頃にはもう帰れないのです。そんなことを考えるとなんとも切ない思いにとらわれてなりませんでした。
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