かつて手にした本物のオトシブミは、珍妙な姿をして興味深くはあったものの、その体が余りに小さくてその色彩や斑紋、体のつくりなどいまひとつ把握しきれず、私にとって持続的な興味の対象とはならなかった。しかし、最近出版されたゾウムシの図鑑でその魅力に開眼した私にとって、このハンドブックはオトシブミをめぐるフィールドワークの入門書として打って付けのものだ。なにしろ、虫の拡大写真の美しく鮮明なことといったら無い。見ているだけで、クヌギ林に行ってみたくなる。拡大写真の他、実物大写真を掲載しているのも親切だ。しかも種による揺籃の作成方法の違いに基づく検索表までついているのは、今までの図鑑には無い趣向として大変評価できる。
それにしても、体色、上翅の点刻、色彩、体表の微毛、そして珍妙な細く伸びた頭部や口吻、どれをとってもオトシブミに対する興味は尽きない(特にイタヤハマキチョッキリの美しさは息を呑むほどだ)。小さな本だが、そこから眺めるオトシブミの世界は広く未知の魅力に溢れた世界でもある(H22.2.13)。