フレデリック・フォーサイスの、『ジャッカルの日』に次ぐ“ドキュメンタリー・スリラー”第2弾。こちらも映画化されている。
ハンブルグのフリーのルポライター、ペーター・ミラーは、自殺した老ユダヤ人が遺した一冊の日記から、“リガの虐殺人”の異名を持つナチ親衛隊(SS)の大尉で、当時ドイツ軍が侵略したバルト三国のラトビアの首都リガにあったユダヤ人収容所のロシュマン所長の存在を知る。彼は日記を通読するや、憑かれたようにロシュマンの追跡を始める。彼の前に立ちはだかるのは旧ナチ親衛隊(SS)の救済を目的とする秘密組織“オデッサ”。その所有する“ファイル”には、名を変え、身分を変え、国籍さえも変えたSSの生き残りのすべての真の素顔が記載されているという。
ロシュマンを、そして“ファイル”を見つけ出されては困る“オデッサ”は、自身も身分を変えてロシュマンに迫るペーターに殺し屋を差し向ける。命の危険も顧みずロシュマンを追いかけるペーターの真の目的とは・・・。
『ジャッカルの日』とはまたひと味違った趣向で、事実とフィクションを取り混ぜながら進むこの物語は、単にペーター・ミラーのロシュマン追跡行にとどまらず、歴史からサスペンスを掬いだし、秘密組織“オデッサ”をアメリカ、西ドイツとエジプト、イスラエルの政治的、軍事的な中東問題とからませたフォーサイスの国際的な取材力と抜群のストーリーテリングで“読ませる”、エンターテインメントに仕上がっている。