相変わらずシュヴァンクマイエルならではの奇妙な(奇怪な)映像感覚が楽しいが、内容から考えるとやや長いとおもう。
現時点でシュヴァンクマエル映画で最長の尺をもった作品だ。(132分⇒上記のランキングタイム167分は映像特典含みの時間だ)
ただ、それだけの時間を使う必要があったかは微妙なところ。 序盤〜中盤は奇怪なキャラクターや映像リズムが楽しいもののやや退屈。(‘出産’までのくだりを指す)
木の息子《オティーク》が動き出してから映画のリズムもよくなる印象。
序盤〜中盤はシュヴァンクマイエルとしては初の本格的なドラマ部分だったので上手くまとめられきれなかったのかもしれない。
(いままでの映画は一人称のモノローグだけだったり音楽だけのサイレントだったりしたし)
あと
全体的にはグロは少ないものの、表現内容はやや直接的だ。もう少し比喩を効かせて欲しい気がした。(食人された跡を,肉片のついた骨の山で表現したのはキツイ表現だと思う)他にも道徳的に微妙な部分が若干含まれるので注意が必要な人もいるだろう。(子供とか)
そして、ラストも(時間が長い割には)消化不良だった。
出来としてはやや冗長な『悦楽共犯者』と同レベルの作品と感じる。
残念ながら『ファウスト』や『ルナシー』あるいは超傑作『アリス』のレベルには達していないと思う。
それでも、民話を表現した奇妙なアニメーション(←この部分は絵です)やオティーク登場シーンを中心に使われているクレイアニメやレトロな特撮、奇妙な人間関係、独得の映像リズム、など見所も多い。ファンなら見る価値はあるとおもう。
少女役の女の子は映像特典でのオーディション風景のほうが (普通に) かわいかった。美少女とはいえなくても。
だが、映画の中ではいかにも気味悪く映っている。
シュヴァンクマイエルは食べるシーンをいかにも不味そうに撮るが、この女の子に対しても同じような撮影をしているように感じた。
歪んだ人間関係の表現が撮影にもあらわれている気がする。