オタクのこだわりを示して、オタクでない読者にもオタクの視点でモノを見させてくれます。私はオタクとはほとんど縁のない生活を送ってますが、一読して彼らが何にこだわり何に興味を示しているのかを垣間見ることができました。そして著者岡田氏の眼力の鋭さに驚かされました。例えば私もキューブリックの映画は好きで、見まくっていた時期がありましたが、岡田氏にオタク的視点による『2001年宇宙の旅』の分析を示された時、自分がいかに甘すぎる見方をしていたかに気づかされました。
オタクに対し、依然としてネガティブなイメージが残っているのかもしれませんが、それが短絡的思考だと気が付く日もそう遠くないはず。ファインアートの世界では、アニメの手法を全面的に取り入れた村上隆氏が世界の現代芸術を牽引しているというのに。
この本を読んだ限りでは、オタクというかマンガというか、サブカルチャーの表現が無意識のうちに極めて日本的な文化の中で成果をあげていることが伺えました。浮世絵が江戸時代のサブカルチャーであり、なおかつ今日では世界的にファインアートとして評価されていることを見れば、オタクが後世、その芸術性の高さを正当に再評価される日も来るでしょう。まずはオタクという人種を見る、色眼鏡をはずしたい。