オスマン帝国の前近代史を描く。オスマン帝国はアナトリア辺境の
武装集団から始まり、その領土を拡大していき大帝国となる。
国内ではイスラム教徒・非イスラム教徒からなる多様な人々を、民族
に関係ないイスラム教徒のエリートが支配する多言語,多宗教の社会を
成立させていた。
しかし、18世紀以降内外の要因によって帝国のシステムは動揺し、多
言語,多宗教ではなく「トルコ人の国」となっていくまでの歴史を描く。
この本はオスマン帝国通史だが、政治・制度だけではなく、都市や女性
など帝国の社会も詳しく描かれている。同時代人の詩も多く載せられている。
詩はスルタンを非難するものや、正統的スンナ派イスラムとは異なる
心象を示すもの、就職のためのものなど様々。これらの詩からオスマン
社会の様々な面を読み取っている。
先行するオスマン帝国通史としては
オスマン帝国 オスマン帝国の時代成熟のイスラーム社会 などがあるが、この本もオスマン帝国を知るために
第一に読むべき本と言えるかもしれない。