いくえみ綾という漫画家は、普通の人間を自然に描く事が上手い。普通と言っても、登場人物はしっかりとした個性を持っている。それがまた魅力的だ。男性でも読みやすい漫画だと思う。『オススメボーイフレンド』には、優れた読み切り作品がいくつも収録されているので、いくえみ作品を好きな方は絶対に読むべきである。
『オススメボーイフレンド』に収録されている。「頼ちゃんは叶わぬ恋をしている」は、『バラ色の明日』に収録されている「巷に雪の降る如く」の続編である。作者いわく、「登場人物が可哀想に思えてなんとなく描いてしまった」そうである。たしかに、前作は本当に切ない話であった。純粋に切ない話なので、涙も出ないほどである。でも、前作から数年後、登場人物達が新しい道を進んでいく姿はなぜかホロリと泣けた。頼の言葉を借りるなら、この作品は「ちょっと泣けるくらい」の物語であった。スゲェいい!ってワケじゃない。でも心には残る。こういった作品を描けるのはいくえみ綾ぐらいだと思う。素晴らしい才能だ。
「頼ちゃん…」は前作を読んでいなくても問題なく内容を理解できる。でも、出来ることならまず『バラ色の明日』を読んでほしい。