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オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)
 
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オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス) [ハードカバー]

ジュノ ディアス , Junot Diaz , 都甲 幸治 , 久保 尚美
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,520 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

オスカーはファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中のオタク青年。心優しいロマンチストだが、女の子にはまったくモテない。不甲斐ない息子の行く末を心配した母親は彼を祖国ドミニカへ送り込み、彼は自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。独裁者トルヒーヨの政権下で虐殺された祖父、禁じられた恋によって国を追われた母、母との確執から家をとびだした姉。それぞれにフクをめぐる物語があった―。英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化が激突する、全く新しいアメリカ文学の声。ピュリツァー賞、全米批評家協会賞をダブル受賞、英米で100万部のベストセラーとなった傑作長篇。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ディアス,ジュノ
1968年ドミニカ生まれ。6歳のときに家族で渡米。父親が失踪、兄は白血病を患い、窮乏状態の中で育つ。皿洗い、ビリヤード台配達、製鉄業などの仕事をしながら、ラトガーズ大学とコーネル大学大学院で文学と創作を学ぶ。『ニューヨーカー』『パリス・レヴュー』などに寄稿、The Best American Short Storiesには4度、作品が収録されている

都甲 幸治
1969年生まれ。早稲田大学准教授

久保 尚美
1970年生まれ。鶴見大学専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • ハードカバー: 414ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/02)
  • 言語 日本語, 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4105900897
  • ISBN-13: 978-4105900892
  • 発売日: 2011/02
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
 ドミニカ系アメリカ人青年オスカーは太めで童貞。SFとアニメをこよなく愛するnerdだ。そんな彼と姉ロラ、移民一世の母ベリ、ドミニカに暮らす祖母ラ・インカ、そして姉の(元)恋人ユニオールたちの一筋縄ではいかない約50年の人生模様…。

 数々のオタク系知識がかまびすしいほど散りばめられ、それについての多弁で夥しい数の欄外註記が付され、さらには訳者によって懇切丁寧な割注まで施される。なんとも独特の体裁をもった、饒舌な長編小説です。

 しかしもちろんこの物語の眼目はオスカーの博覧強記のオタクぶりを披露することにはありません。日本人にはなじみのない、もちろん私も知識のなかった、トルヒーヨという長期に渡って独裁的権勢をふるった政治家が、その死後に至るまでもドミニカ系の彼ら登場人物たちの人生を緊縛し続ける悲劇を、独特のユーモアと、ラテンアメリカ文学のマジックリアリズム的手法で描き切ることにあります。

 マングース、顔のない男、危機に襲われると車で通りかかる見ず知らずの人びと。この小説に反復して登場する数々の隠喩が指し示すものを、しかと理解できたとは言いません。マングースは希望の光、顔のない男はカリブの呪いフク、通りかかる人びとは独裁に密かにささやかな抵抗を示す民衆といったところでしょうか。親・子・孫の三代が繰り返し味わう人生の苛酷なまでの痛み、永劫回帰する悲劇の前に、人の心は生きることをあきらめてしまいがちです。

 しかし訳者解説にあるように、日本のオタクとオスカーのような米国のnerdの違いは、前者と違って後者が二次元の女性ではなく三次元の女性にあたって砕ける勇気と行動力を持っていること。そのために命を賭したオスカーは、「ちゃんと生きていた」ことを感じさせてくれる男なのです。
 だからこそこの小説は、とてつもない悲劇でありながら、奇妙なまでに爽やかな読後感を与えてくれるのでしょう。見事です。
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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
確かに主人公のオスカーは女にもてない「オタク」だが、彼は、そしてこの壮大でありながらスピード感にあふれた物語に出てくる人びとは、誰も受け身ではない。誰も現実から逃げたりなどしない。
彼は、彼を取り巻く暴力的な世界と向き合う。そして傷つけられ、傷つけられ、傷つけられてもまた向き合う。

彼にはほかの道はないのだ。そして僕たちは気づく。僕たちにも(少なくとも僕には)ほかの道などないということに。僕たちは誰しも、この暴力と不条理に満ちた厳しい現実の中にひとりで立たされている。ということに。気づく。僕たちは、オスカーなのだ。

オスカーの視点から、つまりこの世界を生きる者ひとりひとりの地べたレベルの視点から、この世界をもう一度眺め、とらえなおすことができたこと。それが僕にとっての読後の収穫。そこが「チボの狂宴(リョサ)」との違い。
さあ、僕のいち日を生きよう。

(白状します。最後のところでは泣いてしまいました。でも男の子ならみんなわかってくれると思う。)

「オタク」
彼の「オタク(原著ではnerdというらしい)」的な性格にはSF映画マニア、文学青年といった要素がふんだんに含まれている。21世紀の東京ではオタクと映画愛好家は別カテゴリだし、文学青年は絶滅危惧種だが、ニューヨークらへんではまた違う状況なのかもしれない。きっとサブカルチャーという言葉がまだ命を持っているのだろう。うらやましい。
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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By umemomosakura トップ1000レビュアー
主人公オスカーは、英語で言うnerd。(この言葉の意味するところは訳者が巻末で解説しています)
彼が日本的なオタクと違うのは、ラテン系であるがゆえ、生身の女性を求めてやまないこと。
この非モテ男子オスカーの、短くも濃密な人生を、その姉ロラに魅かれてしまったため彼のルームメイトになり、やがて生涯関わることになる体育会系男子ユニオールが語る物語です。

しかし、オタクとマッチョという正反対な二人による友情物語は、話の縦軸に過ぎません。
横軸として語られるのが、彼らの母国ドミニカの悲劇、一族にまとわりつく呪い、母による娘の支配、そして独裁の暴力とそれに抗うすべのない人々。
繰り返される理不尽を、ユニオールの軽快な語り口で、オタクというフィルターを通して力強く(骨太に!)語った物語です

日本のサブカルだけでなく、アメコミやファンタジーからの引用が膨大で、さらにスペイン語の語句も多用され、原注と訳注の量がハンパないです。
しかし、注釈なしには物語を読みこなせなかったことも事実です。
訳者の努力には感謝。

ちなみに本作を楽しむのに、読み手のサブカルへの理解度は、あったほうがいいのかもしれないけれど、なくてもあまり重要ではないと思います。
「オスカーとの関係ではおれは金田のほうだといつも思ってきたが、今や鉄雄だった」なんて文章を理解できてもできなくても、オスカーの何がどれほど凄まじかったのかは、十分理解できます。
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