以前からジェフ千葉のオシム監督のインタビューには注目していましたが、
その言葉はそれまで歩んだ人生に裏打ちされている事がこの本で再認識できました。
旧ユーゴスラビアのナショナルチームの最後の監督という経歴で、祖国が分裂する騒ぎの中で
常に難しい舵取りをしなければならなかった経験が言葉に深みを与えているのでしょう。
それは次のような言葉にも表れています。
「私は別にテレビやファン向けに言葉を発しているわけではない。
私から言葉が自然に出てくるだけだ。しかし、実は発言に気をつけている
事がある。今の世の中、真実そのものを言うことは往々にして危険だ。
サッカーも政治も日常生活も、世の真実には辛いことが多すぎる。
だから真実に近いこと、大体真実であろうと思われる事を言うようにしているのだ」
オシム監督が東京五輪のユーゴ代表メンバーとして来日して、日本を相手に2ゴールを
あげているのは知りませんでした。以前から日本と縁があったのですね。
現役時代はキープ力に優れていた選手だったので、彼がボールを持つと、
ラジオの実況でアナウンサーが「それではリスナーの皆様、しばらくは音楽をお楽しみ下さい」と
いう逸話が笑えました。こういうユーモアセンスは好きです。
さらに驚いたのは、12年の現役生活でイエローカードを1枚ももらわなかった事です。
この本はサッカー好きには堪えられないでしょう。最初のページがストイコビッチの直筆メッセージです。
ジェフとレアル・マドリードとの親善試合の話、間瀬通訳の話やエピローグのPK戦も読ませます。
著者は本当に精力的に取材したという事が伝わってきます。スポーツが好きな人、
スポーツ観戦が好きな人にはお勧めの本です。
野球をベースにしたビジネス書が好きな人にも、一度読んで欲しいと思います。