画家であり自然観察者である著者の鋭い観察眼による丹念な観察記録と美しいスケッチ集である。オオタカという種の生き様を見つめる著者の暖かい目を感じた。対象を長期にわたり地道に正確に観察してゆくことの大切さを再認識した。もうひとつ感じたのははまったく別のこと。優れた撮影機材が容易に手に入り、便利な情報通信環境の完備されたこの時代に、残念ながらひとつ足りないのは人々のモラル。自分のせいで、モラルの無いカメラマンがオオタカの繁殖を邪魔したら....密猟者にヒナをさらわれたら....こういう事態を心配しながら、結果的に秘密主義で観察を続けざるを得ないもどかしさは十分理解できる。はらはらしながら熱心に観察を続ける著者の息遣いが聞えるような良書と言いたい。夏休みに多くの子供に読んでもらいたい。そしてオオタカの素晴らしさと自然に接する態度を読みとって欲しい。もちろんまずお父さんが読んでからね。あと、水彩画であるためくっきりしたシャープさはないが、雰囲気はびんびん伝わってくる。