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オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義
 
 

オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 [単行本]

大田 俊寛
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

オウムを現出した宗教・哲学・政治思想の流れを精査するとき、我々は近代の内奥にひそむ漆黒の闇に直面して戦慄する。気鋭の宗教学者、渾身の現代宗教論。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大田 俊寛
1974年生。専攻は宗教学。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、埼玉大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 294ページ
  • 出版社: 春秋社 (2011/03)
  • ISBN-10: 4393323319
  • ISBN-13: 978-4393323311
  • 発売日: 2011/03
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
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従来の学問的研究はオウム真理教を適切に論じてこなかった。という挑発的な構えから、オウムという戦後宗教史の大問題が発生してくる思想史的なバックグラウンドを論じた非常に興味深い著作である。著者はキリスト教思想史を専門とする気鋭の宗教学者。いわく、オウムはよくいわれるような1970・80年代日本の精神状況の産物ではなく、キリスト教の「鬼子」である「近代」における「宗教」のもつ構造的な「歪み」から生まれてきた、ある種の必然性すら有する申し子である。
ロマン主義・全体主義・原理主義。オウムはこの三要素から説明可能であると著者は断じる。そして、この三つの系譜に属する思想や運動を近現代史のなかからピックアップし、その変遷を辿りながら、オウム以前におけるオウム的な心性の発露の展開を跡付け、考察していく。込み入った言説たっぷりの対象を手際よく整理し分析する著者の堅実な文章により、オウムの特異性とされるものが実は近現代史にありふれた現象や思惟であることがだんだんとわかってきて意義深い。
本書がオウム論の新境地を切り開く力作であることは間違いない。だが、こうしたスタンスがオウム研究にとって生産的な行き方かといえば、疑問である。少なくとも、あの宗教は何であり、なぜあのような事件が起こってしまったのか、という問題を解明するためには、オウム教団の布教・教化や活動・犯罪の実態と、それを時に面白がり時に非難する社会との交渉を、できる限りの資料収集に基づき考えていく必要があるだろう。著者はオウム事件により躓いた宗教学の再構築を志すというが、本書が試みているようなアームチェア宗教学の視野狭窄こそが、宗教学がオウムの危うさを見抜けなかった元凶のひとつではないだろうか。
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16 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
Amazonが確認した購入
 まず、久しぶりに面白くて、いい本を読んだというのが読後の印象。

 当分、こういう本に出会うことがないだろうなあと、ため息がでるほどおもしろい。

 本書は、オウム真理教というテロ行為まで行った教団が成立することになった日本人(先進国ではどこでも当てはまると考えられるが)の精神について、ロマン主義、全体主義、原理主義の系譜を継ぐものとして分析を加え、近代国家としての日本の根本の問題を見事にあぶりだしている。

 今まで読んだオウム関係の本の中では、最も良い作品で、教団についても、簡潔かつ必要十分に述べられており、オウムのテロ行為が用意周到に計画されたものではなく、行き当たりばったりの無計画でいいかげんなものだったことまで、本当に良くわかる。

 そういう意味では、オウム真理教の内幕までよく理解できてしまう本なのだ。

 この本だけは、ぜひ、一読されたい。

 
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9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By kogonil VINE™ メンバー
Amazonが確認した購入
1995年に無差別テロを起こした宗教団体、オウム真理教を「近代宗教」として把握しようとする総括の
試み。目次と提示された主題から、「えっ!?、こんな分量で、そんなことをあつかうの?」と不安になりました
が、一読して、設定した課題を達成していることに驚嘆です。

近代における宗教の位置づけ、ロマン主義、全体主義、原理主義の概観、一連のオウム真理教の事件
をどのように理解するかまで、非常に読み応えのある内容です。
歴史的事例の具体的把握としても、事件を受けての宗教学からの応答としても、今後は本書を踏まえる
ことが必須な一冊になるかと。
宗教の近代における世俗化の経緯や、各「主義」の概観については、細かいところで異論がないわけでは
ないですが、大枠としては不自然さはない整理ですし、そもそも宗教とは何か、という立脚点には、その「そ
もそも」な部分で、非常に納得できます。近年、脳科学的な知見から「宗教」の基盤を論じる文献が多い
ですが、本書の「そもそも」は、それらに再考を促すものでもあります。

「近代宗教」の一般的傾向と、「オウム真理教」の具体的例が、このように総括されている例を知りません。
また、本書で整理された「啓蒙vsロマン」というバトルは、「近代宗教」以外の様々なフィールドで、今も戦闘
継続中で、それらの錯綜した様相の見通しをつけるにも有用な試論となっています。
この意味で、私たちが生きる現在を反省するためにも、必読の一冊です。

ただ、各「主義」の整理は、並列に並べるには粒度が異なる整理となっていて、ロマン主義の概観が啓蒙主
義との対比から、思想史的な整理として簡便なものとなっている一方で、原理主義の整理は、「主義」の整
理と言うよりは、原理主義的性格が日本のサブカル的な形象にどのように認められるか、という特殊例の経緯
を追ったものとなっており、同じレベルでの「概観」とはいえません。
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