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でも後半になると、執拗なまでに書き込まれている推理や薀蓄が少し邪魔でした。それらが物語のスピード感を邪魔してる印象です。
矢吹駆シリーズに独特の哲学的な文章も、内容的には『哲学者の密室』からそんなに大きく展開していない気がする。フーコーをモデルにした人物が登場して場を盛り上げてはいるけれど、ハイデガーが出てきた前作に比べるとその登場する必然性が薄い感じが。
ただ、これまでの駆シリーズとは全体的に色合いの違う作品なので、これまでの作品と比べても仕方ないのかも。ひょっとすると笠井先生は何か新しいことを試みたのだけれど僕に読み解けなかっただけということも考えられます。皆さんはいかがでしょうか?
ただ他のレビューを書かれた方々も同様だと思うのですが、この作品に対しての否定的な意見はむしろ「笠井氏の力量はこんなものではない」という信頼と期待の裏返しであるのでしょうし、10作品を目指すと宣言されているカケルシリーズに「バイバイ」や「哲学者」で与えてくれたあの興奮がもう一度甦る事を私も切に期待、そして信じています。
しかし、読み進むうちにアレレとなってしまった。矢吹駆ものの魅力のひとつである哲学論議にいつもほどの冴えがないのだ。読み進めるのに苦痛を感じる。
ミステリとしての結構も破綻だらけ。真相はアンフェアそのものだし、肝心なところに偶然を多用するのも興ざめだ。そして何と言っても、“見立て”の不自然さは致命的だ。殺人現場で被害者を放置して登場人物が長々と推理談義をするのにも違和感を覚える。
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