文壇(まだあるとして)一の美男子、永遠の青二才(古い?)島田雅彦のオペラに対する愛が全開した傑作である。ことに、評者のようなオペラビギナーには最上のガイドとなるであろう。よって、オペラ通にはどうかは知らんが、☆5つ献上する。
何年前になるか、島田雅彦の坂口安吾や東欧文学への解説エッセイは、ここまで練れた文体ではなかったと記憶する。料理エッセイとかはぜんぜん読んでいないのでそれは知らず、少なくとも彼の小説作品よりは面白いと思う。もともと器用な作家ではあろうけれど、私見では、ここまで細やかかつ情熱的な愛を吐露した文章を島田は書いたことがなかったであろう。
冒頭の『ドン・ジョヴァンニ』でいきなり引き込まれ、一気に読ませる。ここには新知見もあるのでは? 通の皆さんには常識かもしれないが、それは責任を負わない。
個人的には、最近ゼフィレッリ演出、ダニエル・オーレン指揮(アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団他)のDVDで観た『蝶々夫人』の章に深い感銘を受けた。
特に島田がリブレットを書いたらしい『ジュニア・バタフライ』の梗概に。三枝成彰の音楽がどういうものか、それが心配であるが(プッチーニほどの素晴らしい音楽なのかどうか?)、この創作オペラは観てみたい!!! 通俗的と見る向きもあろうかと思うが、それは是非読者の皆さんが本書でご確認を。