この世界と似た、でも少しだけ違う、そんな平行世界が無数に存在する。そして、時間の流れとは、その無限の平行世界を順々に渡っていくということなのかもしれない・・・
パラレルワールドという、SFではほとんど常識となった考え方を、別の切り口で見せてくれる作品です。
とある女性の一生の、ほんの一部分を切り取り切り取り、つづられてゆきます。
手品師が繰ってゆくカードの途中で、「ストップ!」と止めるように。
無作為に止めたカードに描かれているものは、幼子であったり、学生であったり、二人の子供に恵まれた妻であったり。
章と章の間には無数のカードがあり、彼女の人生が、ドラマが描かれているのでしょう。
そして、本質的には彼女でありながら、別の人生を歩むカードもあります。
本来の彼女自身は選ばなかったけれども、確かに存在する、パラレルワールドのカードたち。
かつて彼女がアクセスした仮想空間の中で、独立して動き、またいくつものパラレルワールドに別れてゆきます。
でもその根底に流れるものは、おそらくは、たったひとつの想い。
最初は荒いグラフィックスで構成された空間にすぎなかった世界はどんどん発展し、ついには現実と交錯するようにまでなってゆきます。
そんな時代の子供たちはみな、まるで仮想空間にもうひとつ脳を持っているかのようです。そしてその脳は、他の人とネットワークでつながっている。
それはいったい、どんな世界なのでしょうか。