ややアイディア先行の話で、小説全体の完成度にはやや問題があります。ただ、そのアイディアは素晴らしく密度の濃いもので読ませる力のある小説です。
内容は言語と世界認識に関する物語で、特殊な埋め込み言語を子供達に教え込んでいる研究者、アマゾンの奥地でドラッグのトランス状態の中で生み出される特殊な言語、そして新しい世界認識を得るために言語を採集しに地球へとやってきた異星人、この3つのエピソードが絡まりながらストーリーは進んでいきます。この中の一番目の話をもっと説得力を持って展開できていたら”傑作”になったんでしょうけど、それがいまいちよく書けていません。また、比較的丁寧にストーリーの進む前半に比べると、後半は明らかに急ぎすぎ。異星人も最初は魅力的なんだけど、だんだんどうでもよくなってきます。ただ、最初に書いたようにアイディアの良さで引っ張る力はかなりありますし、読んだあとにちょっと物足りなさも残るけど、読んでいるときは作品世界に没頭できます。