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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
久しぶりの北上節が堪能出来る。,
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レビュー対象商品: エンターテインメント作家ファイル108 国内編 (単行本(ソフトカバー))
椎名誠の著作に「もだえ苦しむ活字中毒者の地獄の味噌蔵」と言うエッセイがあるが、その中で常軌を逸した活字中毒者(笑)として紹介されているのが、椎名の友人で「本の雑誌」発行人の目黒孝二、即ち書評家北上次郎である。と言っても、このコンテンツをクイックされる方たちにとっては先刻ご承知の事だろうが。そんな北上の書評を、私もいつも楽しみに読んでいるひとりである。彼の名を記憶したのは、もう20年以上前、当時の書評を纏めた名著「冒険小説の時代」であった。ジャック・ヒギンズ、マイケル・ゾウハ―、ロバート・B・パーカー、クレイグ・トーマス、ケン・フォレストらが傑作を連発し、日本に於いても、西村寿行、船戸与一、北方謙三、大沢在昌と言った作家が輩出され、正にエンタテインメントとしての冒険小説のジャンルが息吹き、成熟に向かう時期に我々を熱く煽情したその名文数々は、内藤陳の「読まずに死ねるか」と並び、従来の書評を良い意味で逸脱した“血湧き、肉踊る”極めてエモーショナルな読み物だった。あれから20年間の蓄積を、今回1冊の本に纏めるというのは、さぞ大変な労力だったと思う。阿左田哲也、柴田錬三郎から山本文緒、姫野カオルコまで、冒険、時代、ミステリーから恋愛、社会派、児童文学と、正に、硬軟入り乱れたそのラインナップは荘観だが、正直、彼の書く冒険小説の書評ファンとしては、もう少しジャンルを絞ってほしかったと思わせる。まちろん、北上はオールラウンドの書評家だし、エンタテインメント全般を網羅した結果こうなったのだろうが、西村寿行や船戸与一、志水辰夫を論じた項こそ輝いて見えるのは穿った見方だろうか?それと、出来れば、紹介されている各作家の代表作に触れた書評も読んでみたかったな。
11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
偏愛する書評家,
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レビュー対象商品: エンターテインメント作家ファイル108 国内編 (単行本(ソフトカバー))
北上次郎の書評が好きである。なんといえばいいか、彼の書評は気持ちを鼓舞するのだ。たとえばそれがまったく知らない作家のものだったとしても北上書評にかかってしまえば、はやく読まなきゃいけないと焦燥感にかられてしまうこと請け合いなのだ。だから彼の書評を読むと、My本棚に新たな作家連中が勝手に増えてしまう。なんとも困った書評家さんなのである。 彼の書評は、本から受けた衝撃や興奮や感動をストレートに表現することからはじまる。たとえば、こんな感じだ。 『すごいすごい。読み始めたらやめられない。どうして、こんなにすごいシリーズを読み落としていたのか』 『美しい小説だ。胸に残る小説だ』 『いやはや、面白い。本書のゲラを読み終えるなり、私、書店に走ってしまった』 『読み終えてしばらく、言葉もない。こういう小説をどう紹介したらいいのか、私にはまったくわからない』 『本書を読み終えたときの興奮はまだ覚えている』 あまりにも平易でそのまんまの感情表現が、逆にストレートに胸に響いてしまう。これは、大笑いしている人につられてこちらも笑ってしまう感覚に似ているのかもしれない。だからついつい読んでしまう。そして彼が熱く語る本を求めて書店に走ってしまうのだ。しかし基本的にこの人の好みはぼくと合致しない。なぜなら、ぼくは彼が偏愛する冒険小説もギャンブル小説も好みではないし、スポーツ小説や恋愛小説のいい読者ではないからだ。だから、彼の書評に煽られて読んだ本がおもしろくなかったということもある。また、それ以外の作品でも彼が熱く語っている本であるにも関わらず好きになれなかった本もある。たとえば大沢在昌「新宿鮫」がそうだったし、伊坂幸太郎「重力ピエロ」がそうだった。 逆に彼の書評によって出会えた作品もある。下田治美「愛を乞う人」がそうだったし、山本文緒「パイナップルの彼方」がそうだった。 好きな作品、嫌いな作品ひっくるめて彼の書評が好きだ。北上次郎は、ぼくが偏愛する書評家なのである。
10 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
感じるところは人それぞれ,
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レビュー対象商品: エンターテインメント作家ファイル108 国内編 (単行本(ソフトカバー))
「人生は短い。一生のうちに読める本の数なんてたかが知れている。」私の中学時代、当時50代だった社会科の先生は、こんな風に言って私たちを鼓舞して読書を薦めたものです。 しかし今は出版戦国時代。次から次へと新刊書が洪水のように世に出る状況を前に、一体何を読んだらよいものかと思案投首の日々です。 そういうときに「これを読め」と呼びかける書評に頼りたくなるのは人情というもの。そこで北上次郎はどうかと手にしたのが本書です。 過去20年間に綴られた108の書評集です。まずは私自身が読んで感銘を受けたことのある小説の書評から拾い読みをしてみました。 鷺沢萠「さいはての二人」。恩田陸「夜のピクニック」。天童荒太「永遠の仔」。姫野カオルコ「ツ、イ、ラ、ク」。 自分が気に入っている作品についての北上の語りには大いに頷かされます。同好の士を得たといった思いを抱かせる、実に小気味の良いものばかりです。 しかし、読んだことがあるけれどもどうにも肌にあわなかった小説について拾いだしたところ、私は躓いてしまいました。島本理生「ナラタージュ」と本多孝好の「真夜中の五分前」の書評で北上は、両作品をベタぼめする言葉を綴っています。それを読んだ途端に、先ほどまでの北上に対する同志的気分は消し飛んでしまいました。 結局のところ、原稿料をいただいた上で書評を書く場合、批判的言辞を投げるのは勇気がいることなのだろうな、という意地悪な見方が私の胸の中で先行してしまいました。 本書にはまだまだ私が読んだことのない小説が山ほど取り上げられているのですが、この「ナラタージュ」「真夜中の五分前」評以降、北上評が自分の今後の読書生活に参考になるかどうかの判断がつきかねる思いがしてしまいました。 結局のところ、書評はあくまで参考程度。あとは自己責任で自ら感じるままに読書するしかないということなのでしょう。
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