最初に感想を言えば、毎巻出るのを楽しみにしていただけに、これで〆というのは残念だ。
エンゼルバンクが取り上げてきたテーマ(医療、農業、あるいは「ドラゴン桜」が採りあげた教育)は、長く積み残しとして意識されていたもので、結局、政権が変わっても積み残しであることに変化がない、むしろ状況は悪化しているように見えないこともない。
特に農業は、目先にこだわって大機を逸している典型例であろう。医療も日本医師会が単に邪魔をしていたという話だけでもなさそうだ。
足して割る政治の限界が顕著に出ているのがこれらの分野という言い方もできるだろう。
本巻では、14巻に引き続き、本田さんに医療について語らせている。
実現性は評価できないが、医療をサービス業と捉える視点と戦略が的を得ていることには間違いなく、ここまでできる実行力がある人材が居るか、制度の設計がしっかりできるかという問題であろう。
多様な医療サービスの提供と、価格から考える視点は、現在、この世界に決定的に欠けている点であろう。
なお、巻中の北原氏(北原脳神経外科病院理事長)によると、日本の医療費は提供している水準から考えて国際的に安すぎるという。しかし、病院側がこう言うと、変化(収入増)を望んでいるのは病院の側なのでは?というようにとれて、議論が曲がってしまわないかと心配になる。
むしろ、今後の医療は払える人にもう少し払ってもらわないと、中長期的に維持困難なというのが現状なのではなかろうか。
しかし、「追い込まれてする選択は最悪の選択だ」という気もしないではない。
なるほどなぁと思えるところは、まとめの巻とあって、随所に出てくる。
・国の形が作られるのは内戦(考えたこともなかった視点)
・夢を語ると言うことはドン・キホーテになるということ(確かにそうだが、それならほとんどの人は夢なんか持っていないということにはなる)
・真のかっこよさは「自立していること」(同じ論旨が「
バブル女は「死ねばいい」 婚活、アラフォー(笑) (光文社新書)」にもあった。専業主婦の居心地の悪さは自立していないことから来ているという論旨であった)
謎であった日本征服計画とは、実は、国民が制度の下に甘んじるのでなく、自らが未来を作っていく取り組みであることが示される。