11巻までのコラムはタイアップ的なものばかりだったが(12巻はコラムなし)、この13巻では匿名の官僚から寄せられたコラムが巻末に掲載されている。そしてこれがなかなか読み応えある。
12巻同様、このシリーズの本題だった筈の「転職」よりも、「起業」さらには「資産形成」の話題が多い。「資産形成の法則」、「マイホームより賃貸」、「リスクに対する世間の勘違いを利用する」など、近年のビジネス書や自己啓発書で既にとりあげられている事柄は、今更と感じる読者もいるだろう。
また、三田紀房作品全般に言えることだが「絵」が綺麗と言い難い。しかし、発しているメッセージ自体をむしろ受けとめるべきであって、とやかく言うことではないかも。
一方で、桂木の人間的成長、保守的な妹夫婦と安易な金儲けに走ろうとする転職希望者のいずれにもしっくりとこない主人公の葛藤など、物語としての面白さも(次の巻でこの「葛藤」に何かの決着がつきそうな予感を匂わせて本巻は終わる)。
アメリカのサブプライムローン問題と医療崩壊の関係を知っていた読者はあまりいないかもしれない。
また、これまでの全巻を通し「日本社会の暗黙のルール」や、海老原言うところの「モヤモヤ神話」に気づかされたり、考え直させてくれる、という意味で、若手社会人や大学生にはおおいにすすめたい。