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映像の暴力性にこだわりつづける石井聰亙監督が1984年の『逆噴射家族』以来10年ぶりに撮った長編映画ということで、ファンの間で大いに話題となった作品。しかしここで彼は肉体の暴力ではなく、マインドコントロールを一例とした精神の暴力へとその観点を移し、そこから愛やサスペンスを醸し出すとともに、超自然的なものへの畏敬の念をじわじわと噴出させていく。ヒロインの家の中にある緑の植物までもが暴動を起こしそうな、静かなる映像の迫力を堪能できる異色作である。(的田也寸志)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
塵より生まれし者よ、塵に還れ,
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レビュー対象商品: エンジェル・ダスト [DVD] (DVD)
パンクなスピード感にとり憑かれた作品を繰り出していた監督が、「肉体の速度には限界が有る、より速いものとは何か?そうだ、精神の速度だ」と気づいて撮った、サイコ・サスペンス。日常的な、普通の人が抱いている狂気に関心がある、と『文藝』95年春号で語っていた監督だが、その辺は黒沢清監督の『CURE 〔キュア〕』などには到底敵わない印象。南果歩演じるヒロインの‘異常犯罪性格分析官’なんていう肩書きからしてなんだか胡散臭いし、この映画で描かれる心理学は、何ともムード的というか、漠然としている。この映画は体裁だけは刑事モノのそれを借りているが、一種のダーク・ファンタジーとして観た方が良いだろう。互いに相手の中へ自我が溶けていき、風に舞う塵(ダスト)のように人格を解体させるプロセスが、‘愛’と呼ばれる物語。人の心は洞窟のように、暗がりの中で幾重にも分裂している。山の頂上のような、到達すべき答えなどは存在しない。なのに人は一つの答えを求めようとする――そう言って、人格の破壊へと導く阿久。その彼自身が嫉妬に駆り立てられているとも見えるのが、この映画の絶妙な部分。そして、あの最後の台詞と、最後の表情。たとえ真実が、答えの無い永遠のプロセスだとしても、人は何らかの人格への執着によってでしか、行動できない生き物なのかも知れない。 因みに、タイトルの‘エンジェル・ダスト(天使の粉)’とは、或る麻薬の通称。
14 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
学問的には間違いだらけですが・・・,
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レビュー対象商品: エンジェル・ダスト [DVD] (DVD)
決して悪くない出来だったと思います。それどころか、台詞が全くない<沈黙>シーンが非常に多い本作には「日本語における言語と非言語の関係」に関する意外な発見さえあったほどです。この映画で描かれている<臨床心理学>にはデタラメな部分が多いという欠点もあるのですが、主演三人の素晴らしい演技の魅力もあって全体的には堂々と人に薦めらる映画です。
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
意味不明の錯乱へと静かに惹き込まれて・・石井監督の見事な仕掛け!,
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レビュー対象商品: エンジェル・ダスト [DVD] (DVD)
アメリカ映画「シックスセンス」を最後まで見てやっと、少年と医者の関係が分かって驚いた自分としては、もう10年以上前の公開である「エンジェルダスト」は全く未知の、不可解な映像体験となった。この映画全体が醸し出す異様な緊張感と、神経をすり減らされるような表面的静かさに、恐いもの見たさのようについつい画面に吸い寄せられてしまった。 望遠で捉えた、雨の交差点での不意の殺人と紅い傘、深夜営業のコインランドリーから聞こえてくる奇妙な音の正体を思わず見て死に至る通行人、正体不明の殺人鬼らしき男が映し出されたざらついた映像と耳障りな機械音・・・ この映画のねらいは、視覚と聴覚の一時的錯乱と麻痺状態ではなかろうか? 人間の意識下の深層から逆照射したような、謎に満ちた脚本と、不快感の伴う映像と音の巧妙な仕掛けによって、見る者はうまく罠にはめられてしまうのだろう。 石井監督の並々ならぬ才覚と野心を十分に味わえた、いまだに忘れられぬ作品である。
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