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エロス身体論 (平凡社新書)
 
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エロス身体論 (平凡社新書) [新書]

小浜 逸郎
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人間の身体は、たんなる生体システムではない。人は身体という座において、世界と関係を結び、他者と出会い、そして触れあい、ついには「私」を立ち上がらせる。私たち人間は、「身体をもつ」のではない。むしろ、「身体として・いる」存在なのである。他者とのかけがえのないかかわり=「エロス」を軸に、身体の人間論的な意味を徹底して考え抜く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

小浜 逸郎
1947年横浜市生まれ。横浜国立大学工学部卒業。批評家、国士舘大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 298ページ
  • 出版社: 平凡社 (2004/05)
  • ISBN-10: 4582852254
  • ISBN-13: 978-4582852257
  • 発売日: 2004/05
  • 商品の寸法: 17 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By モチヅキ VINE™ メンバー
形式:新書
 歯に衣着せぬ辛辣な批評で知られる、1947年生まれの多作の批評家が、2004年に刊行した身体論。人間の身体は、心身二元論では捉えきれず、精神と物体の双方にまたがる「関係的」なものである。精神への身体の関わりは、特に情緒(日本語では「いる」という単語に具現されている)という形で現れ、したがって知覚以上の精神の背後には、必ず情緒の裏付けがある。人間は常にこの身体を介して生活世界に開かれ、意味の体系に組み込まれている。著者はその身体に無意識に張り巡らされた意味の体系を、便宜的に3つの機能的意味(生理機構、主観的世界像の基盤、外的世界との関係を変更させる手段)と2つの人間的な意味(他者との相互認知・相互交渉の手がかり、エロス的関係の価値を創造・維持・破壊する目標)――これらは実際には相互に絡み合い、影響しあっている――に分け、2章で詳しく分析している。愛(エロス)と労働と権力と死を思想の四大テーマと考える著者は、以下3章で性愛を、4章で労働と権力を、5章で死をそれぞれ身体論と関連させて論じ、私たちの身体が相互関係を通してのみ共同態や社会を形づくり、その照り返しとして各自の主体のアイデンティティを形成するという意味で、「あなたの身体はあなただけのものではない」という結論を導く。私見では、本書には鋭い分析が多々あり、結論自体も妥当ではある。しかし、論旨は基本的には歴史的変化や社会背景を捨象した一般論であり、個人的な怨恨すら疑わせる3章でのフェミニズムへの無理解ないしその平板すぎる理解に、その欠点が特に明白に現れているように思う。また3章での自己の経験の安易な絶対視・一般化は、その他の箇所での、常識を鋭く相対化する立場(エロスや権力のような概念も、通常の語のニュアンスよりも広義に用いられている)と、きわめて対照的に感じる。
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形式:新書
「女は見せる身体を有し、男は見ることにより弱さを見抜かれる存在である」というのが著者の言い分である。さらに、「娼婦性」と「母性」を併せ持つのが女性であり、女はそうした自らの特性を磨き、男をひきつけることこそに存在意義があり、男は自らの性的乱脈性を倫理によって克服し、真の愛情を女性に対して示す自己配慮を行わなくてはならない、とも言う。著者はこれらの理屈をフーコー的権力概念とサルトル流実存主義的枠組みで理論付けようとしているが、どう読んでみても「セクハラ親父」すれすれの議論になってしまっていてどうにも具合が悪い。「セクハラ」や「ジェンダー格差」という概念そのものが一種の権力装置であるという事実を認めても尚、小浜の議論は時代遅れのそしりを免れまい。性差というものがなくなるようなことはないだろうが、性差にまつわる意識自体は高度資本主義下においては相当な変容を余儀なくされるであろう。それは、個人が一個の消費する主体として認識される現代においてはある程度いたし方がないことのようにも思える。この程度の議論でとどまっていてはだめだ。
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形式:新書
「恋する身体の人間学」や「なぜ私はここにいるのか」もそうでしたが、最近の小浜先生は、今までの論考をひとつに纏め上げて自分なりの思索体系を創り出そうと一生懸命のように見えます。この本もそうした試みの結果といえそうです。よって小浜先生のファンにとっては非常に興味深く読めます。

ただ、こうやって纏め上げられるとかえって目に付くのですが、現象学的にものを考えることと、自分の直感を出発点にしてものを考えることの境界が曖昧なのが小浜先生の論考の欠点といえば欠点です。

だからと言っていいのか「病気」論のところでは、先生が得意とする実存的立場からの視点というのが抜け落ちている感がありますし、性愛論のところはあまりに世の性愛事情を赤裸々に書きすぎていて読んでいる方が少し恥ずかしい。

でもとにかく、そうした違和感をおぼえる個所も含めて、この本は面白い。隅から隅まで地道で堅実で、骨太で信頼のおける論考です。

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