私自身の中上健次との出会いは「地の果て 至上の時」。
そこからさかのぼって作品を読んで行く方向と、
作品をリアルタイムで読んでいく方向との2方向で付き合ってきた。
作品世界の豊饒さと読み解く順の交錯とで、より豊かさが広がったと思っている。
中上健次のあまりにも早い死は衝撃だった。
それだけに、「第11章熊野に死す」は静かで悲しかった。
レビューにもある通り、作家は作品で評価するのが第一ではあると思う。
しかし、中上健次を読みたい人に何を読んだらよいかのアドバイスは難しい。
これまでまったく読んだことのない人ならなおさらである。
一人でも多くの人に、中上健次に出会ってもらうためには、
本書のように、それだけで読み応えのある評伝は必要なのだとあらためて感じた。
本書を読んでもらうのも、中上健次に迫るひとつの道になるのではないかと思えた。