CSのアニメ専門局「AT-X」で、2004年7月から放映されたアニメ。
タイトルは「妖精の歌」の意。(ヴォルフの歌曲の題名より)
これは、毎週のように粗製濫造されては消えていく、凡百の萌え
アニメとはひと味もふた味も違う、制作者たちの「本気」が垣間
見える作品である。
私見だが、ここ数年で数多く見たアニメの中でも、最高ランクの
逸品。ただ、とても子供に見せられるような内容では無いし、人
を選ぶ作品であることも確かだ。(初見時は胃がむかむかした)
その魅力を言葉で説明するのは難しいのだが、神戸監督のライナ
ーノーツから引用すると、「コントラスト」という事になる。
CSならでは、の容赦ない残酷描写や、目を背けたくなるような、
少女たちの虐待描写がある一方で、「楓荘」に何故か(笑)次々
と集まってくる女の子たちと、主人公コウタとの穏やかな生活と、
ラブコメ風味のトークと、エッチな描写も盛りだくさん、という
水と油を無理矢理まぜたような、独特の作風である。
それでも下世話にならないのは、クリムト絵画をモチーフにした
荘厳なOP、グレゴリア聖歌風の美しい音楽、そして何より神戸
監督の、卓越した演出による所が大きい。
具体的に、どこが優れているか書き出す余裕は無いが、ぜひ自身
の目で確かめて頂きたい。
第1話でも軽く触れられているが、物語はコウタとその妹カナエ
とに起こった、8年前の悲劇を軸に動いていく。そこで繰り返さ
れるのは、「許されざる者」たちの生への足掻きであり、人間へ
の憧れと憎しみであり、タナトスに必死で抗うエロスの姿である。
それは激しいが故に切なく、狂おしく、観る者の胸を締め付ける。
エロスとタナトス、それはクリムト終生のテーマでもある。