あまりに科学が進歩してしまった時、人はどこに救いを求めるんでしょうか。科学の目が何もかもを明らかにしてしまったときに人々は「神」の存在までも疑うようになるのでしょうか。これはそういうお話でした。科学が神に置き換わることが出来るのですかねぇ。そうでなければもう神などという無形なモノを心の支えにする必要もなくなるのでしょうか?日本人は特に決まった宗教を持つ人が少ないですし、私自身も無宗教ですから、「神」の存在を疑うということがその宗教を信ずる人にとってどれほどの重みがあるのか理解しきれないところがありしたが、この物語に書かれている未来は決して遙か未来のことではなく、もうすぐそこに起きうるであろう未来だと思います。科学の進歩を至上命題として突っ走ってきた私たちはある時、ふと自分たちがやってきたことが本当に正しかったのだろうかと思うときが来るような気がしまし た。何もかもを自分たちの手の中に収めることで、逆に今まで知らず知らずその恩恵に与ってきたものを失うということもあるのかもしれません。そんな風に様々なことを考えさせてくれる素晴らしいSFです。