1960年代から活躍するロメールが、1980年代末から1990年代後半にかけて撮った四季の物語シリーズ。ロメール映画の特徴である、バカンスの海と緑のむせ返るような香り、平凡な人びとの複雑な日常、よどみなく続くおしゃべり、いかした女の子にダメダメな男たち、などがつめこまれている。
ロメールもフランス映画も慣れてない人は『夏物語』(1996)からをオススメ。出てくる若者たちはみな美しいし、とにかくバカンスの風景が気持ちいい。ロメールの代表作のひとつ『海辺のポーリーヌ』(1983)のアマンダ・ラングレが、キュートさはそのままに魅力的なお姉さんになっているのが必見。
春と秋では、ロメールが初期から頻繁に描いて来た女の友情が描かれている。軽めでかわいらしい『春のソナタ』(1990)もいいけれど、特に『恋の秋』(1998)の中年女性たちが、同性から見て本当に素敵。
これら四作品で、おそらくいちばん一般受けしにくいと思われる『冬物語』(1991)は、しかしロメール映画の根底に流れる哲学が最もよく表れた作品かもしれない。この一見地味な作品は、「どんなに確率が低いことでも何かを信じて生きることのほうがずっと幸せだ」という、ロメール自身が「パスカルの賭け」と呼ぶ哲学に満ちている。個人的には一番のお気に入り。真実の愛を信じたくなる映画。