ジャン・デ・カールのエリーザベト本を読んでも彼女の姿はいまいち掴めなかった。察するに男性にとってはこのSisiという女性、どこかいつまでも“美の高み”に置いておきたい、そんな存在なのかもしれない。(彼女を取り巻いていたその当時の男性達と同じ感覚か?)故に詰めが甘かった。しかしこの本を読んだ事で、エリーザベトの本当の姿に肉薄したいという思いが満たされた気がする。著者は歴史学者だけあり、そう多くは残っていないであろう資料の再検討・精査をきちんとなされているようで、様々なエピソードに信憑性がある。よく言われる彼女の美の崇拝は控えめで、性格のいい所だけでなく、人に辛辣(で自分に甘い)、皮肉屋な所などの描写にも遠慮がない。後、彼女の内的世界とフランツ・ヨーゼフとの夫婦関係、どちらの葛藤とも克明に記されている。自己矛盾の多いSisiの様々な奇行はこの辺が肝で、ここを美化もしくは曖昧にされると、謎を解き明かす鍵が掴めなくなってしまう。(ジャン・デ・カールの本がそう。)
私は綺麗事で終わらない、人間臭い歴史上人物の伝記が好きなので、大変楽しめた。プリンセス・Sisiではなくて、リアルなSisiに出会いたい人にお勧めします。