主人公は探偵真鯉徳子;通称「マッコイ」。
美女だが凶暴で大食い大酒のみで色気は余り無し。
愛銃コルト・ガバメントM1911の初期ロットを片手にアメリカ51番目の州「エリア51」の人間と人外の一癖も二癖も在る悪党どもに一目置かせる腕利きの探偵なのだ。
アメコミの影響顕著な白黒のコントラストが強い独特の絵に加えて様々な古今東西の虚実交えた小道具の組み合わせが絶妙です。
地区の店や酒瓶の銘柄、カクテルグラスの中味等何度か読まないと見落としてしまいそうな細かなネタも遊び心に溢れています。
基本マッコイが河童のキシローを相棒に妖魔絡みの事件を解決して行く一話完結式の連作読切ですが、背景でマッコイが何故この街で探偵業を営んでいるのか、異常なまでにM1911に執着するのか等が少しずつ解っていくストーリー運びも興を逸らせません。
ネタバレは避けますが泣ける「FAREWELL MR.VAMPIRE」とこの妖怪とあの怪異をこう組み合わせるか、と思わず膝を叩いた「YOU CAN’T HOLD SOMEONE.WITHOUT A BODY」は傑作です。
そして妖怪・精霊と張り合うには少々パワー不足だったマッコイがある事情から能力アップする最終話「DO YOU KNOW THE STORY OF THE BLUE BIRD?」も、一話目から振られた伏線の回収と次巻への引きが見事です。
一見お気楽な無法街に見えるエリア51ですが、背景には人外・超常の物の人間化・無力化を狙った合衆国政府の方針があり、どこと無く先住民の改宗・無力化の様な後ろ暗い雰囲気が漂っています。
出て来る魔物や精霊達も折角の超能力をギャング組織の縄張り争いや売春宿の変態プレイに使うばかりで非常に退廃的な状況なのですが、久氏のスタイリッシュな絵では彼らの格好良さが前面に出ておりその暗さ・卑屈さが余り気になりません。
新生コミック誌「@バンチ」の中では一・ニを争う面白さです。
お薦めです。