表面的には、金属(鉱石)のシンボリズムや神話、儀礼、鍛冶師とシャーマンの関係、錬金術について論じた著作。
これを最も身近な例にたとえるならば、司馬遼太郎氏の『街道を行く7』収録の「砂鉄の道」がそれにあたる。これは『街道を行く』の中でも特に有名な部分で、古代以来の鉄文化がその後の日本にどんな影響を与えたかを、東アジアとの比較や、山陰地方の旅とともに述べている。
ただしエリアーデの場合は人類の文明史の中で、金属文化の影響を論じているのである。エリアーデの一番言いたいことはラストでようやく述べられるが、読後は1つの意図のもとにまとめられていることがよくわかる。しかし、それが現代文明への警鐘だとは誰が気づくだろうか。