著者は、推理小説で追及されるべきテーマについて「意外な推理」と「意外な真相」を峻別し、クィーンの作品における論理を解明することで、ポーを創始者とする「意外な推理」の物語の正統に位置づける。
しかし、その結果、浮き彫りにされるのは推理小説史全体におけるクィーンの特異性である。
「意外な真相」は作家と読者の双方にとってあまりにも魅力的であり、ポー自身がその呪縛から逃れ得なかったばかりか、後の作家の多くがその創造に凌ぎを削り続けてきた。
その中にあって「意外な推理」の追及者たるクィーンは孤高な輝きを放ち続けているわけである。さらに著者はその視点から、いわゆる「後期クィーン問題」に対しても明快な解決をもたらしている。
今後のクィーン研究のみならず、推理小説全体の歴史的検討にも一石を投じるであろう刺激的な一冊である。