19世紀アメリカに生きた女性詩人、エミリ・ディキンスン。
生前に発表した詩は、わずか10篇。無名のまま生涯を閉じ、その人生の大部分を、ニューイングランド、アマーストの家の中でひきこもるように過ごした、なぞの女性。
しかし彼女が箪笥の抽斗にしまっていた46束もの詩稿は、彼女の死後、妹ラヴィニアの手によって世に出ることとなり、いまやエミリ・ディキンスンは、アメリカを代表する詩人のひとりに数えられています。
もし、そんなエミリの詩の数々が、ディキンスン家に住み着いた一匹の白ネズミと、エミリとの交流によって生まれたものだとしたら…。
このちいさな本には、そんな愛らしい着想で描かれた、ファンタジーとも言える物語がおさめられています。
ですが、引用されているエミリの詩は長田 弘氏の訳しおろしたもので、ひとつひとつのエピソードは事実に即しており、エミリ・ディキンスンの詩の世界への入門書としてもおすすめ。
エミリの部屋の壁穴に住み着いた白ネズミ、エマラインの詩(著者スパイアーズの手になる詩)も挿入されていて、これがまた素敵なのです。
クレア・A・ニヴォラによる、表紙のエマラインがなんとも愛らしい!
中の挿絵は繊細ななモノクロの線画で、物語とよく調和しています。